病院経営者向け「M&Aを検討する際の最初の一歩」

病院M&Aアドバイザーズのコンサルタントが綴るコラム

COLUMN

お知らせ・コラム

News&Column

病院経営者向け「M&Aを検討する際の最初の一歩」

コラム | 2025.01.24

 今回は、『病院経営者向け「M&Aを検討する際の最初の一歩」』というテーマで掲載します。

 病院の経営者にとって、M&A(事業継承)は避けて通れない課題の一つです。経営者自身の高齢化や後継者不足、経営環境の変化といった要因により、M&A(事業継承)を計画的に進める必要性が高まっています。しかし、どこから手をつければ良いのか分からないという声も少なくありません。以下では、M&A(事業継承)を検討する際に最初に踏むべき一歩について解説します。

 

1.なぜ事業承継を計画的に進めるべきか?

1)経営の安定性を確保するため

 突然の経営者交代は、病院の運営や従業員、患者に大きな影響を与えます。計画的に進めることで、スムーズな引き継ぎが可能になります。

2)病院の価値を最大化するため

 M&A(事業継承)の準備を早期に始めることで、財務状況や運営体制を整え、病院の価値を高めることができます。

3)地域医療の継続を保証するため

 病院は地域医療の基盤です。M&A(事業継承)が失敗すると、地域医療提供体制に深刻な影響を及ぼします。

 

2.事業承継を検討する際の最初の一歩

1)現状の経営状況を把握する

 まず、病院の財務状況や運営状況、患者数の推移などを正確に把握します。これにより、病院の強みや課題を明確にすることができます。

 ①財務諸表(貸借対照表・損益計算書)の確認

 ②診療報酬の請求状況や過去の監査履歴

 ③医療スタッフの人員配置や離職率

2)承継の目的とゴールを明確にする

 M&A(事業継承)をなぜ進めるのか、どのような形で病院を存続させたいのかを明確にします。例えば、

 ①家族内での継承

 ②外部の経営者への引き継ぎ継承

 ③医療法人のM&Aによる継承

 

3)専門家に相談する

 M&A(事業継承)には法務・税務・財務の知識が必要です。経験豊富な専門家(弁護士、公認会計士、事業承継コンサルタント)に相談することで、適切な計画を立てることができます。

4)従業員との信頼関係を構築する

 M&A(事業継承)に伴う従業員の不安を最小限にするため、透明性のあるコミュニケーションを行いましょう。特に以下の点を意識します:

 ①M&A(事業継承)の理由や目的を共有する

 ②従業員の役割や待遇がどう変わるのかを説明する

5)承継計画のスケジュールを立てる

 M&A(事業継承)は短期間で完了するものではありません。最低でも3〜5年の計画を立て、各ステップを段階的に進めます。

 ①第1段階:現状分析と方向性の検討(1年目)

 ②第2段階:後継者の選定と育成(2〜3年目)

 ③第3段階:引き継ぎと新体制の構築(4〜5年目)

 

3.実際の事例

 ある地方病院では、経営者が高齢化する中で、地域医療を継続するために外部の医療法人への承継を検討しました。初めに財務状況や診療体制を見直し、病院の価値を高める取り組みを実施。その後、地域医療ネットワークの構築を目指す法人と連携し、スムーズにM&A(事業継承)を完了しました。この計画的なプロセスにより、患者や従業員への影響を最小限に抑えることが可能となりました。

 

4.まとめ

 M&A(事業継承)を成功させるためには、現状を正確に把握し、明確な目的を持ち、計画的に準備を進めることが重要です。初めの一歩を適切に踏み出すことで、病院経営の安定と地域医療の継続を実現する道が開けます。後継者問題や経営課題に悩む経営者の方々は、早めの行動を心掛け、専門家とともに最適な承継計画を策定する事が重要です。

一覧へ戻る

CONTACT

お問い合わせ・ご相談はこちら

医院・クリニックの譲渡・事業継承を
しっかりとサポートいたします。

  • お問い合わせフォーム
  • 06-4704-0061

プライバシーポリシー