法規制や医療法が病院、診療所のM&A(事業継承)に与える影響

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法規制や医療法が病院、診療所のM&A(事業継承)に与える影響

コラム | 2024.12.09

今回は、「法規制や医療法が病院、診療所のM&A(事業継承)に与える影響」というテーマで掲載します。

 

 病院、診療所(クリニック)のM&A(事業継承)は、地域医療を守るための重要な手段になります。しかし、一般企業のM&A(事業継承)とは異なり、医療機関特有の法規制や医療法の影響を受けるため、慎重な対応が求められます。これらの法規制は、医療サービスの質を確保し、患者の安全を守るために設けられていますが、M&A(事業継承)を進める上での課題にもなり得ます。このコラムでは、病院、診療所のM&A(事業継承)に関連する主な法規制とその影響について解説します。

 

1.医療法の基本概要

 医療法は、病院、診療所の設立・運営・管理に関する基本的なルールを定めた法律で、医療の質の向上や患者の安全確保を目的としています。この法律は、M&A(事業継承)を行う際にも大きな影響を与えます。特に重要なポイントは以下の通りです:

1)医療機関の許可制

 医療法人立の病院、診療所を開設するには、都道府県知事の許可が必要です。M&A(事業継承)によって経営主体が変更される場合、新しい経営者が許可を再取得する必要があります。

2)医療法人の設立および運営に関する規制

 医療法人がM&A(事業継承)の主体となる場合、法人運営の透明性や公益性が求められます。また、財産処分や組織変更には所定の手続きが必要です。

3)診療報酬請求における影響

 診療報酬の請求に関しても、M&A(事業継承)による経営主体の変更が届け出されなければ、新しい法人名義で請求が行えません。

 

2.M&Aに関わる主な法規制

 医療法以外にも、医療機関のM&A(事業継承)にはさまざまな法規制が影響します。その主なものを以下に挙げます。

1)独占禁止法の適用

 病院、診療所のM&A(事業継承)においても、一般企業と同様に独占禁止法が適用されます。特定地域内で複数の医療機関が統合される場合、医療サービスの競争環境に影響を与える可能性があります。この場合、公正取引委員会が審査を行い、場合によってはM&A(事業継承)の中止や条件付き承認が求められることがあります。

 例えば、地域内の主要な医療機関が統合し、患者が選択できる医療機関が著しく減少する場合、競争の自由を阻害する可能性があると判断されることがあります。

2)医療法第70条:医療法人の分割・合併に関する規定

 医療法人が分割や合併を行う際は、医療法第70条に基づき、都道府県知事の認可が必要です。この認可手続きには、以下のような事項が求められます:

 ①合併後の運営体制や診療方針の具体的な説明。

 ②患者の権利や医療の質が引き続き確保されることの証明。

 ③合併による医療法人の財務状況や資産の透明性の確保。

手続きには数カ月以上かかることもあり、計画的な進行が求められます。

3)労働基準法および医療従事者の雇用問題

 M&A(事業継承)では、医療従事者の雇用継続が重要な課題となります。労働基準法や労働契約法に基づき、職員の雇用契約や労働条件が変更される場合には、十分な説明と合意が必要です。また、M&A(事業継承)後に経営方針が変わることで、医療従事者との間に不信感が生じないよう、適切な労務管理が求められます。

4)個人情報保護法と患者情報の取り扱い

 病院、診療所が保有する患者情報は、個人情報保護法に基づき厳格に管理されています。M&A(事業継承)の際に経営主体が変更される場合、患者情報の取り扱い方法についても慎重な対応が必要です。

①患者の同意:M&A(事業継承)に伴い情報が新しい主体に移転する場合、事前に患者の同意を得ることが求められることがあります。

②セキュリティの確保:患者情報の流出や誤用を防ぐため、情報管理体制を適切に整備する必要があります。

 

3.法規制がM&A(事業継承)に与える影響

 病院、診療所のM&A(事業継承)における法規制は、手続きの複雑化等の課題をもたらします。しかし、これらの規制は医療サービスの質を守り、患者の利益を保護するための重要な枠組みです。そのため、規制を遵守しつつ、効率的にM&A(事業継承)を進めることが求められます。

具体的な影響としては、以下のような点が挙げられます:

1)計画スケジュールの慎重な調整

 許認可の取得や規制遵守のため、M&A(事業継承)の計画スケジュールには余裕を持たせる必要があります。

2)専門家の関与

 法律や規制に詳しい弁護士やコンサルタントの助言を受けることで、リスクを最小限に抑えることができます。

3)地域住民や患者への説明責任

 法規制に基づき、M&A(事業継承)後も医療サービスが途切れないことを住民や患者に説明し、信頼を維持する努力が求められます。

 

4.今後の展望:法規制を超えた成功への鍵

 病院、診療所のM&A(事業継承)において、法規制は大きな課題であると同時に、医療サービスの質を守るためのガイドラインでもあります。これらの規制を正しく理解し、遵守しながら進めることが、成功への鍵となります。

 また、国や地方自治体がM&A(事業継承)を円滑化するためのサポートを強化する動きも見られます。例えば、許認可手続きの簡素化や相談窓口の設置など、法規制に対応しやすい環境が整備されつつあります。

 病院、診療所のM&A(事業継承)は、規制をクリアするだけではなく、地域医療の未来を守るための責任ある取り組みです。 法規制を遵守しながら、患者や地域住民の利益を最大化する視点を持つことが、真の成功を生む鍵となります。

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