今回は、M&A(事業継承)における買収形態の一つである「事業譲渡」で譲受した「営業権」(のれん代)の税務処理について記載します。「営業権」(のれん代)とは、長期に渡り収益をあげる仕組みを総称した「無形の資産」になります。病院やクリニックでは、許認可事項、医療的技術、患者等がそれに当たります。
「営業権」(のれん代)の評価方法については本サイトの「評価額の算定」に記載している通り、年買法、類似業種比較法及びDCF法等があります。事業譲渡の価格から実際に譲受した純資産の価格を差し引いた金額が「営業権」(のれん代)になります。例えば事業譲渡全体の価格が3,000万円で、そのうち純資産部分が1,800万円の場合は、3,000万円ー1,800万円=1,200万円が「営業権」(のれん代)になります。この「営業権」(のれん代)の経費処理は支払った事業年度に一括で経費計上できるわけではありませんので注意が必要です。
「営業権」(のれん代)は会計処理上「無形固定資産」に分類され、減価償却が必要になり、5年(60か月)の月割りで均等償却になります。具体的には、「営業権」(のれん代)が1,200万円の場合、初年度は譲受した月を含めて期末月まで8か月であれば、償却費は1,200万円×8/60=160万円となり、2年目から4年目は1,200万円×12/60=240万円、最終年度の5年目は1,200万円×4/60=80万円となります。
事業を譲受後に資金繰りや納税を検討される場合の参考になさって下さい。