M&A(事業継承)売り案件の「売却希望価額」について

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M&A(事業継承)売り案件の「売却希望価額」について

コラム | 2024.06.18

病院・クリニックを問わずネットでM&A(事業継承)の売り案件を検索すると、M&A(事業継承)のサイトに様々な業種の売り案件が掲載されています。そこには「売上」、「利益」、「売却希望価額」が表示されていることが多いでしょう。弊社も日々情報をチェックしていますが、そこで見る「売却希望価額」に疑問を感じることが多いです。中には「年間売り上げ」以上の価額であったり、利益がマイナスもしくは少ないのに価額が高額な案件が多々見受けられます。もちろん業種によっては特殊な事情があり、その価額が算定されていることもあると思います。また、不動産や設備の時価が上乗せされている場合もあります。売り手側からすればできるだけ高く売りたいという心情も理解できます。

一方、買い手側からすればできるだけ安く買いたいのが本音です。M&A(事業継承)では様々なリスクも回避する必要がありますし、買収後、投資した支出分を回収して利益を上げていかなければM&A(事業継承)を利用する意味がありません。特に病院・クリニックのM&A(事業継承)では、「時価純資産+営業権」という価額の算定方式を使うことが多いと思います。病院の場合は、「病院の土地・建物」等の不動産が含まれることもあり、「時価純資産」が高くなります。利益は少ないので「営業権」はそれほど算定されていなくても結果として「売却価額」が高くなります。また巷では病院の価額を算定するのに「1床当たり1千万円」という算定方法もあると聞きます。

M&A(事業継承)の買い手側として一番重視すべきは「利益」です。M&A(事業継承)で投下する資金を何年で回収して利益を生み出していくのかが重要です。利益があまり出ていないのに高額な資金が必要な場合、買い手側が買収後独自の戦略や戦術で必要な「利益」を出していける明確な計画がある場合は別ですが、現状で「過小な利益」の案件に手を出すべきではありません。案件の説明に「効率化すればもっと利益を出せる案件です。」みたいな文言を掲載して、効率化を前提とした高額な価額を算定している案件も多いです。それなら、売る前に自前で効率化して利益を出してから売るべきだ、と思ってしまいます。

病院もクリニックも人的産業です。特に病院は職員数が多いので、風土や体質を変えるのは容易ではありません。なので、現状の経営成績である「利益」の観点から価額を見ていかなければなりません。売り案件の掲載でももう少し「利益」を重視した価額算定をすればもっと問い合わせが増えるのに、と思う案件が多くあるのは残念なことだと思います。

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