Comparison
買収事例比較方式(市場基準方式)
買収価格比較方式は、過去の買収事例における買収価格を参考に価格を算定する方法です。
過去の買収案件における被買収病院の財務指標と買収価格の
倍率を基準として、買収ターゲットの財務指標から買収価格を算定します。
病院の買収事例においては、当事者により詳細が公表されていない場合が
多いですが、関連情報などからある程度の推測が可能であり、
下記のような基礎データを用いて買収価格を算定することができます。
- 売り手、買い手の名称
- 被買収病院のプロフィール
- 買収実行日
- 買収価格
- 被買収病院の売上高
- 買収価格の支払い方法(現金、債権等)
- 純利益に対する買収価格の比率
- 簿価に対する買収価格の比率
- 買収プレミアムの金額
Forecast
残存価値の予測
買収事例比較方式では、入手できる情報の範囲で、
できるだけ多くの種類の買収価格倍率を算定すべきです。
何故なら、買収事例比較方式では入手できる
情報の範囲や質に限界があるからです。
次のような基準指標を用いた買収価格倍率が一般的です。
- 売上高
- EBIT(税引き前当期利益+支払利息)
- EBITDA(税引き前当期利益+支払利息+減価償却費)
- 有形資産簿価
- 純資産額
In fact
買収事例比較方式
(市場基準方式)の実際
実際の買収事例の買収価格を用いた買収事例比較方式は、
頻繁に使用されている価格算定法です。
実際の適用に当たっては、買収事例のとらえ方により、
次のようないくつかの類型が考えられます。
- いくつかの買収事例の買収価格倍率の平均を用いる方法
- 最も適当と思われる類似事例の買収価格倍率を用いる方法
- 進行中の案件の倍率を参考にする方法
Pros and cons
買収事例比較方式
(市場基準方式)の長所・短所
買収事例比較方式(市場基準方式)の長所
- 実際の買収事例での買収価格を基礎としているために説得力がある。
- 買収事例の詳細に関する情報の正確性を確認する手段が比較的に豊富であるため、算定された数値に対する信頼性が高い。
買収事例比較方式(市場基準方式)の短所
- 診療の内容、財務内容、規模等の点から類似とみなせる事例を探し当てるのは極めて困難。
- 公表された買収事例においても、買収価格や買収された病院の財務数値については公開されていない場合も多い。また、公開されていたとしても、数値の正確性を確認する作業は容易ではない。
- 買収価格倍率の算定において使用される数値は、買収価格と買収された病院の過去の財務数値なので、もし選択された類似の買収事例において、売り手と買い手の間で、実際には過去ではなく将来の財務予想数値により買収価格が算定されていたとしたら、過去の財務数値と価格を比較した倍率は高すぎることになり、結果として算定価格も高すぎることになる。
- 選択された類似の買収事例には、現在進行中の案件にはない特殊事情が存在する可能性がある。例えば、その買収事例において買収された病院には巨額の訴訟債務があり、買収価格が値引きされているかもしれない。
- 公表された買収事例における買収価格が現金による支払額のみであるとは限らない。場合によっては、買い手が引き継ぐ負債を買収価格に含めて発表することもある。