診療所(クリニック)の継承型M&A:院長の高齢化・後継者不在への対応

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診療所(クリニック)の継承型M&A:院長の高齢化・後継者不在への対応

コラム | 2025.02.04

 今回は、「診療所(クリニック)の継承型M&A:院長高齢化・後継者不在への対応」というテーマで掲載します。今回から何回かに分けて医療機関(病院、診療所)のM&A(事業継承)を類型別テーマで解説します。

 日本では医師の高齢化が進み、多くの診療所(クリニック)が後継者不在の問題に直面しています。特に個人開業医の場合、後継者がいなければ閉院せざるを得ません。しかし、地域医療の継続や患者への影響を考慮すると、診療所(クリニック)のM&A(事業継承)を活用した方法が有力な選択肢となります。以下では、診療所(クリニック)の継承型M&Aのメリットや手続き、成功のポイントについて解説します。

 

1.診療所継承型M&Aのメリット

1)売り手側(現院長)のメリット

① 地域医療の継続

 患者や従業員にとって影響を最小限に抑えられる。

② 資産の適正評価と承継

 診療所の設備やノウハウを適切に評価し、売却益を得られる。

③ 廃業コストの回避

 単純な閉院では発生する解雇費用や原状回復費用を抑えられる。

2)買い手側(新院長・法人)のメリット

① 既存の患者基盤の確保

 新規開業と比較し、即座に安定した診療収益を確保できる。

② 従業員や設備の引継ぎ

 経験豊富な従業員や医療機器をそのまま利用可能。

③ 経営リスクの低減

 過去の診療実績や財務データを基にしたリスク評価が可能。

 

2.診療所M&A(事業継承)の進め方

1)M&A(事業継承)の準備段階

① 経営状況の整理

 財務状況・診療報酬・契約関係(賃貸借契約、リースなど)を確認。

② 希望条件の整理

 売却希望価格、譲渡後の関与度合い(引継ぎ期間など)を決定。

③ 専門家への相談

 M&A仲介会社や税理士、弁護士に相談し、適切な進め方を検討。

2)買い手の選定と交渉

① 譲受希望者の募集

 M&A(事業継承)プラットフォームや仲介会社を活用。

② 基本合意書の締結

 基本条件を確認し、具体的な交渉へ。

③ デューデリジェンス

 財務・法務・診療所運営状況の詳細調査。

3)契約締結と引継ぎ

① 最終契約の締結

 売買契約や事業譲渡契約を締結。

② 患者・従業員への説明

 円滑な引継ぎのため、事前に周知。

③ 運営の移行

 診療業務やレセプト請求業務酬の継承手続き、行政届出などを実施。

 

3.M&A(事業継承)成功のポイント

1)売却前の事前準備を徹底する。

 財務状況の整理や契約関係の見直しを行う。

2)譲受先の選定を慎重に行う。

 医療理念や診療スタイルが合致するかを確認。

3)患者・従業員への配慮を忘れない。

 円滑な引継ぎのため、適切な説明を行う。

 

4.まとめ

 診療所の継承型M&Aは、単なる経営戦略ではなく、地域医療の継続という社会的意義を持ちます。適切な手続きを踏み、信頼できる相手にバトンを渡すことで、患者・従業員伴にに安心できる未来を築くことが可能になります。後継者不在の問題に悩む院長は、早めにM&A(事業継承)の選択肢を検討する事をお勧めします。

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