今回は、M&A(事業継承)とは直接関係がありませんが、地域の病院がM&A(事業継承)を活用して構築・強化できる地域包括ケアシステムについて、「地域包括ケアシステムにおける病院の役割変化」というテーマで掲載しまう。
日本の医療制度は、超高齢社会の進行に伴い大きな転換期を迎えています。地域包括ケアシステムの推進により、病院は従来の「治療の場」としての役割に加え、「地域医療のハブ」としての機能を強化する必要があります。以下では、地域包括ケアシステムにおける病院の役割変化について考察します。
1. 地域包括ケアシステムとは?
地域包括ケアシステムとは、高齢者が可能な限り住み慣れた地域で自立した生活を送ることを目的とした医療・介護・福祉・生活支援の統合的な提供体制です。これにより、病院だけでなく、訪問診療や在宅医療、介護施設、地域住民の協力が不可欠となります。
2. 病院の役割の変化
1)急性期治療から回復期・慢性期医療へのシフト
従来の病院は、基本的に急性期治療に重点を置いていました。しかし、地域包括ケアシステムの推進により、回復期リハビリテーション病棟や療養病棟を増設し、患者の在宅復帰を支援する役割が求められています。
2)在宅医療の推進と訪問診療の強化
高齢者が増加する中で、入院医療だけではなく、在宅医療の需要が高まっています。病院が訪問診療を強化し、地域の診療所や介護事業者と連携することで、患者の生活を支えることが可能になります。
3)多職種連携の強化
地域包括ケアシステムでは、医師、看護師、薬剤師、リハビリ専門職、ケアマネジャー、介護職員など、多職種が連携して患者を支えることが重要です。病院は、これらの職種が円滑に協力できる体制を整えるハブとして機能することが求められます。
4)予防医療と健康増進への関与
病気になってから治療するのではなく、未然に防ぐ「予防医療」の重要性が高まっています。病院は、地域住民向けの健康教育や健診、生活習慣病予防プログラムを積極的に実施し、地域の健康増進に寄与する必要があります。
5)医療・介護連携の強化
退院後の患者が適切な介護サービスを受けられるよう、病院と介護施設、在宅介護サービス事業者との密接な連携が必要です。特に、退院支援の充実が課題となっており、病院は患者と家族に対してスムーズな在宅復帰をサポートする役割を果たす事を求められています。
3. 具体的な取り組み事例
1)病院と地域包括支援センターの連携
ある地域では、病院と地域包括支援センターが共同で高齢者向けの健康相談会を開催し、医療と介護の橋渡し役を担っています。
2)退院後のフォローアップ体制の強化
退院患者が適切な在宅医療・介護を受けられるよう、訪問看護ステーションと提携し、退院後も継続的なサポートを提供する体制を整えている病院もあります。
3)病院主導の地域医療連携ネットワーク構築
病院が中心となり、診療所、介護施設、薬局などと情報共有を進め、地域全体で患者を支えるネットワークを構築するケースも増えています。
4. まとめ
地域包括ケアシステムの推進に伴い、病院は単なる「治療の場」から「地域医療のハブ」としての役割を果たすことが求められています。急性期治療だけでなく、回復期・在宅医療の充実、多職種連携、予防医療への関与を強化することで、地域全体の健康維持に貢献することが可能になります。今後も、医療機関(病院、診療所)は、地域のニーズに応じた医療体制の構築を進めていく事が重要ですが、M&A(事業継承)を活用することで、医療の質や構築のスピードを高める事も可能です。。